時計店で働いています。
個人でやっているお店で従業員も5人ほどです。
でも地元の人が多く利用してくれるお店で働いていてすごくやりがいがあります。
小さなお店なので従業員の人たちはいろんな仕事を任されます。
販売もそうですし、時計の修理に関してもそうです。
30年以上も続けている社長の元で職人のような仕事をさせてもらえて、時計の技術を学んでいけるのはとても自分の自信になります。
修理は基本的にいろんな所の故障箇所を見つけるのが得意になってきました。
でもその中で僕が一番苦手なのはメッキの作業です。
めっき装置を使って機械でメッキするんですが、社長はもちろん先輩の人たちと全く仕上がりが違います。
お客さんがずっと使いたい為に修理に出てきたメッキなのでもっとめっき装置の扱いを上達しないといけないと思っていました。
そんな時、1つの時計の修理を任されました。
秒針がうまく動かなくなっている時計で、故障箇所の修理とベルトの金メッキが剥がれている部分を再メッキする修理です。
僕はどちらかというと故障箇所の修理は順調に身に付けてきました。
先輩からも認められていると感じます。
でもメッキについては「上達せんなぁお前」と笑われます。
怒られているわけでは無いのですが、やはり最後に先輩にチェックしてもらう時に「ここやり直すぞ」と修正が必要になります。
そんな中、故障箇所の修理が終わり、再メッキの修正にかかります。
久しぶりに社長が来て僕の作業をふとチェックし始めました。
よりによってメッキの作業の時に・・泣。
作業に手間取っていると「研磨をもっともっと丁寧にやらんとメッキは乗らんよ。
そこだけ集中すりゃいい」とアドバイスをもらいました。
確かにこれまでは最後にメッキをする工程が下手だとばかり思っていました。
でも事前の研磨作業のことを指摘されて、徹底的に磨くことに集中しました。
するとこれまでになく綺麗な状態でメッキが乗るんです。
「お、珍しくよく出来たじゃん」と先輩にも一発OK。
社長さんがパッと一言アドバイスをしただけなのに、僕の一番の悩みがあっという間に解消されてしまいました。
やっぱり社長はすごいです。それからは苦手だったメッキの作業が逆に得意になってきました。
これからもお客さんが大切に使っている時計を丁寧に修理して仕上げたいと思います。